# メーリングリストの開設、おめでとうございます。
投稿のテーマとして適切かどうかわかりませんが、マルチタスクの御利益
について。
先日の例会でどなたかが
「印刷している間に別のファイルを編集できる以外に何かマルチ
タスクのメリットはあるのか?」
といった主旨の発言があったと記憶しています。
そのときの会議の中心議題ではなかったので、特にフォローの発言はしま
せんでした。そこで、この場を借りて「私が感じている」ご利益を挙げて
みようと思います。
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1.エンドユーザにとって
スタンドアロン環境で使用している限りでは印刷の間に何か編集できる
以上のメリットとなると、私にもあまり見当はつきません。
もし、ネットワーク環境におけるノードとしてのコンピュータであれば
自分がファイルを編集している間にちょっとしたメールの受領を「自動」
で行なうことができます。
つまり、明示的に全ての作業をコントロールしているわけでなく外部に
反応する必要があるときに、その反応をタスクとしておけばかなり便利に
なるでしょう。相手がいつメールを送りたくなるかはコントロールできな
いわけですから。
2.プログラマにとって
規模の小さなプログラムを集めて協調的に動作させることにより大きな
作業を行ないたい場合、とても便利です。プログラムの大きさとそのテス
タビリティや開発にかかるコストは強烈な反比例関係にありますから。
また、ディスクやその他の周辺デバイスとメモリ、CPU中のレジスタ
はそれぞれアクセスに要する時間の桁が違いますから、マルチタスクにす
ることでCPUをできるだけ遊ばせないようにすることが可能になります。
単位時間あたりの処理量をよくスループットといいますが、このスルー
プットが向上します。
3.セールスマンと購入担当者にとって(おまけ)
しばしば、「マルチタスクのOSですよ!」というセリフは稟議書を通
すことや購入契約をむすんでもらうのに決め手の一言になり得ます。
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一言でいえば、いろんな階層の人達にそれなりの役に立つ、というとこ
ろでしょうか。
しかし、たしかにエンドユーザの使い勝手の劇的な向上に寄与している
かと問われれば、「うーん、そうじゃないかもね」という返事をするでし
ょうね。
これはそもそも、OSというものが「もったいない精神」から生まれて
きたということに由来するのでしょう。OSがどういう機能を備えるべき
かは、コンピュータの進歩とニーズの膨らみによって変化しています。最
近のウィンドウのサポートなどもその流れでしょう。
そろそろ別の枠組で設計されるオペレーティングシステムが出てきても
いいころかもしれません。
# OSの生まれや育ちに関するわかりやすい解説は、以前長谷川さん
# が紹介したスウィツァの
# 「オペレーティングシステム -設計と実装- 」
# の第1章がお勧めです。
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鈴木保是 (SuzukiYasushi) : (株)アイ・ケイ・テクノロジー
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