しばらく沈黙して考察していました。以下に、私の現時点での
「実身名についての見解」を述べます。
要旨
1. 実身名はユーザから見て文字列であるべきである。
図形文字は条件付きで容認するが、文字修飾や図形そのものは
実身名に入れるべきではない。そういう拡張は別の実身属性など
の導入によるべきである。
2. 実身名サイズは十分に大きくユーザの制限にならないべきである。
TRON多国語コードのような不定長コード体系の元ではユーザに
分かりやすい制限値(XX文字以内)はシステム的には無意味である。
無意味な制限を課すくらいなら制限なしの方が良い。
本論
パスによる実身の特定、タイトルバーへの実身名の表示、仮身属性
による実身名の修飾、テキストボックスによる実身名の入力など、
現在のシステムはユーザ・インタフェースの仕様上も実身名が文字列
である前提で設計されている部分が多い。これらを無理に拡張しても
ユーザにとって分かり難くなるだけだと考える。
一般的なTADを使った実身情報は、実身名ではなく、他の実身属性か
注釈レコードの応用による方が良いと考える。意味的に大きく変った
ものを実身名として現在の延長に置くことには何らメリットはない。
図形文字については、外字に対する要求が強いとの推測から、条件
付きで容認する。条件としては
(1)実身名にTADを含むことがファイルシステムの実装上許容できる
負荷で可能であること。
(2)図形文字をユーザが通常の文字と同等に扱えるように、システム
及びアプリケーション・ガイドラインを整えること。
がある。後者の条件が重要である。具体的には、図形文字のユーザ
辞書への登録やコマンドラインでの使用、文字列検索の対象に含める
ことなど図形文字を「コードの長い文字」として扱える環境を整える
ことがユーザに操作のギャップを感じさせないために必要である。
実身名サイズについては、実身名を「文字列」に制限した関係から
実用上は100文字程度で十分と考える。しかし、他ファイルシステム
との関係から、実際には256文字以上は使えることが望ましい。
しかしながら、この100文字(あるいは256)文字をシステム上の制限
とするのは難しい。なぜなら図形文字を容認した場合は言うに及ばず
容認しないでも本格的多国語コードを利用すれば、一文字のサイズも
決められないからである。結局、ファイルシステムは実用上無制限の
サイズを許容するように作る必要がある。そうであるなら、無意味な
制限を掛けてチェックの手間を掛けることに意味はない。
そうはいうものの、仮身やタイトルバーへの実身名の表示を考える
と、よほど画面が広くなるか、折り返し表示機能の追加をしない限り
100文字〜200文字が実身名の実用上の限界であろう。それはそれで
良いと考える。
--- 林(takanori@ohsaki.meidensha.co.jp)