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[b-free: 1548] Re: 伽藍建築方式




隆一です。

「伽藍とバザール」で書いてあることの繰り返しになってしまうかもしれませ
んが……


From: 藤永清和 <NBA01614@niftyserve.or.jp>
Subject: [b-free: 1543] 伽藍建築方式
Date: Tue, 19 May 1998 01:16:00 +0900

>  隆一さん[b-free: 1541]、藤永です。たしかに、
> 「題名に伽藍(Cathedral) とあっても、宗教的な意味合いは薄いようなので、いいん
> じゃないでしょうか?」
>  宗教的意味合いを考えたらバザールはイスラムですもんね。

なるほど。


>  伽藍や大聖堂(Cathedral)は建築(建設)方式の話でしたね。つまり、伽藍を建
> 設する組織の話です。で、実際、伽藍や大聖堂がどのように建設されたか良く知らな
> い。ニョーボがのファンなので宮大工の話は少し知っています。法隆寺の話。
>  ただ、いずれにしても、権力者の意志で、(奴隷も使って?)建設したのでしょう
> 。

ふむふむ。OS の場合だと、Windows とか、MVS になるのでしょうか?


>  宮大工なら徒弟制度です。
>  西岡常一氏はまさしくハッカーですが。
> 
>  さて、バザール方式のリーダーはハッカーではないのか?あるいはハッカーの必要
> はないのか?アナーキーなエネルギーを引き出せばよいのか?

それは、ハッカーの定義によると思いますが :-)

私としては、ハッカーであることとバザール方式とはあまり関連がないと思い
ます。

たとえば、Richard Stallman さんという人がいます。彼は(クラッカーという
意味でない)ハッカーだということに異論を唱える人は少ないでしょう。本人
も「最後のハッカー」と自称しているみたいですし。

Richard Stallman さんは、FSF という団体を率いていて、GNU プロジェクト
を進めているわけですが、(一般への)普及度という点では Linux に一歩遅れ
をとっています。

たとえば、Linux が出た当初 (1992 頃) には、すでに GNU プロジェクトから
Hurd という OS が出るというアナウンスが出ていました。実際、Linus さん
も、Linux は Hurd が出るまでのつなぎということを NetNews に書いていま
す。しかし、現在を見ると Hurd はようやく世の中に出てきたところで、
Linux と比較することすらできないくらいマイナーです。

# もちろん、Linux は GNU が出しているプログラムを利用しているわけで、
# この点からいうと Linux と GNU とは比較できないとも言えます。


Linux と Hurd: この差がどうして生じたのでしょうか?
それは、Linus さんが Richard Stallman よりハッカー的資質があったかとい
うと、そうではないと思います。
むしろ、Linus さんのハッカー的な能力以外の部分が重要だったのではないで
しょうか? 「伽藍とバザール」だとコーディネイター的能力だと書いてあり
ますね。


>  岡目八目というのがあります。ようするに書いた本人には解決が難しくても、傍か
> ら見るとすぐバグがみつかったりします。
>  あら捜しの得意(好き)な人はテスターに最適だ。

結局、バザール方式というのは、少数の(ハッカー的)能力が優れている人が作
るより、多数の人がよってたかって作るやりかたの方がいいよということでは
ないでしょうか?

もちろん、多数の人が参加するようにできたことが、Linux の普及の理由でも
あります。


>  バザール方式からイメージすると、カーネルから積み上げて行くだけではなく、ア
> プリケーションも同時に作り出せる気がします。じじつ、フリーキャビネットがあり
> ますね。
>  たとえば、3Bにありとあらゆるものを移植するグループがあってもおもしろそう
> 。
>  B−Freeの外殻と同時にアプリケーションが揃ってたりして。

バザール方式がうまく働けば、早期にアプリケーションが揃うこともあり得る
と思います。

私の考えでは、先の論文には、バザール方式と書いてあっても、2 つ意味があ
るようです。

1) Linux OS のように、修正するのは少数の人(Linus) だが、使う人が多く、
   バグに対するフィードバック(リリース) が早い。
   使っている人が多いため、バグがあってもすぐ発見できる。

2) Linux の上にのるプログラムを、ごった煮のように増やす。何でも受け入
   れ、全然制限なんかしない。
   作る人からすると、Linux はある程度普及しているので、その上に載るプ
   ログラムを作れば多数の人が使うことが期待できる。使う人からすれば、
   Linux には自分の使いたいプログラムがあることが期待できる。

藤永さんが書かれたアプリケーションが揃うというのは後者の働きによるもの
と思います。


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