root
ユーザーでログインしていると、ちょっとした誤操作がもとで、システムを破壊する重大な事態につながることがあります。
そこでパッケージのビルドにあたっては通常のユーザー権限にて作業することにします。
あなた自身のユーザーを利用するのでも構いませんが、全く新しいユーザー環境として lfs というユーザーを作成するのが分かりやすいでしょう。 所属するグループも
lfs という名で作成します。
ビルド作業においてはこのユーザーを利用していきます。 そこで root
ユーザーになって、新たなユーザーを追加する以下のコマンドを実行します。
groupadd lfs useradd -s /bin/bash -g lfs -m -k /dev/null lfs
コマンドラインオプションの意味
-s
/bin/bash
lfs ユーザーが利用するデフォルトのシェルを
bash にします。
-g
lfs
lfs ユーザーのグループを lfs とします。
-m
lfs ユーザーのホームディレクトリを生成します。
-k
/dev/null
このパラメーターは、ディレクトリ名をヌルデバイス (null device) に指定しています。
こうすることでスケルトンディレクトリ (デフォルトは /etc/skel) からのファイル群のコピーを無効とします。
lfs
生成するユーザーの名称を与えます。
lfs ユーザーとしてログインするために lfs に対するパスワードを設定します。 (root ユーザーでログインしている時に lfs へのユーザー切り替えを行なう場合には lfs ユーザーのパスワードは設定しておく必要はありません。)
passwd lfs
$LFS ディレクトリの所有者を lfs ユーザーとすることで、このディレクトリ配下の全ディレクトリへのフルアクセス権を設定します。
chown -v lfs $LFS/{usr{,/*},lib,var,etc,bin,sbin,tools}
case $(uname -m) in
x86_64) chown -v lfs $LFS/lib64 ;;
esac
前述したような作業ディレクトリを作成している場合は、そのディレクトリに対しても lfs ユーザーを所有者とします。
chown -v lfs $LFS/sources
ホストシステムによっては、以下のコマンドを実行しても正常に処理されず、lfs ユーザーへのログインがバックグラウンドで処理中のままとなってしまうことがあります。 プロンプトに "lfs:~$" という表示がすぐに現れなかった場合は、fg コマンドを入力することで解決するかもしれません。
lfs でログインします。
これはディスプレイマネージャーを通じて仮想端末を用いることができます。 また以下のユーザー変更コマンドを用いるのでも構いません。
su - lfs
パラメーター「-」は su コマンドの実行において、非ログイン (non-login)
シェルではなく、ログインシェルを起動することを指示します。 ログインシェルとそうでないシェルの違いについては bash(1) や info
bash を参照してください。